あるいたずら心

小学生の頃、フライパンで焼ける粘土というもので遊んだことがある。友達といっしょに、直径二、三センチほどの人の顔をたくさん作った。
作ってはみたものの、べつに使い道がない。どうしようかと相談した結果、「ご自由にお取り下さい」と書いて家の前に置いておくことに決まった。戸建て住宅だったので、家の前をけっこう人が通るのである。
そんなものがほしい人がいるとも思えなかったのだが、隠れて見ていると、それでも持っていく子どもが数人いた。私はなんだかとても嬉しかった。
これが、知っている人に「これあげるよ」だと「あ、ありがとう」という展開になるのは目に見えていて、なんだか面白くない。不特定多数が相手だというのが面白味の一つなのだろう。
SNS にしろ、ブログにしろ、ネット上にはその種の面白味が随分あると思う。「出会い」とか「人の役に立つ」とかいう決まり文句では片付けられない、いたずら心に通じる面白さだ。